長い靴べらと台 (山桜)

知り合いから依頼を受け長い靴べらとその台を作りました。

 

ずいぶん前から玄関に置く長い靴べらが欲しかったそうですが、なかなか気にいる物がなかったそうです。うちに来た時に玄関に置いてあるこちらの靴べらを見て、作って欲しいと依頼されました。

台もすっきりしたものにして欲しいと要望され、靴べらと一緒に作りました。

台に立てた姿はこんな感じです。

靴べらの材は昨年作った衣紋掛と同じくヤマザクラです。靴べらの長さは約 640mm。うち用に作ったのは使い込むに従ってだんだんと長く感じるようになり、長いと持て余すと気付いたので少し短くしました。


仕上げはミツロウベースの自然素材ワックス Briwax を使ってます。塗り込んだ時に材の濃淡が出るのを少し抑えたかったので、いくつかを試してこれに決めました。手触りがサラサラになる感じです。

台はブラックウォルナットとナラを重ね合わせ、組み込み前にカーブを描いて溝を作っておくことで靴べらの先端部が深く入るようにしてます。入る量が少ないと靴べら先端の薄い部分に負荷がかかり、長年の使用で問題が出る可能性があると思います。靴べらのスムースな出し入れができるように工夫しました。

台の仕上げは自作のワックス(こちらの箸と箸箱に利用してます)です。特にブラックウォルナットがしっとりとした感じになりツヤが出ていい雰囲気になってます。^_^;

長い靴べらを台にまっすぐ立てると安定が悪くなるためひっくり返りやすくなります。このため以前作ったものでは台の下部に鉛を埋め込みました。今回は鉛なしで済ませないかと考え、台の下にベースを敷くことにしました。見栄えのいいようにある程度小さくしましたが、安定度はかなり上がってます。

下は靴べらと台をぐるっと回転させた写真。前のカーブと後ろのカーブが違うこと、靴べらの先端部分がゆっくりと反っているにもかかわらずほぼ真っ直ぐ立っていることがわかります。^_^/

    

靴べらを深く納めようと深く掘るためのジグを作ったり、横切りにしたものを重ねてみたり、いろいろな方法を試しましたが、最終的には収まりも良くなりデザイン的にも気に入ったものができました。

靴べらの先端が台の底に直接当たると欠けが心配されるので、穴の底にはフェルトをたたんで入れてクッションにしています。

依頼された方も喜んでくれてました。玄関で日常的に使っていただければ何よりです。

 

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