バイオリン用譜面台 (ナラ)

以前知り合いの方のためにチェロ用譜面台を作りましたが、今回はそのかたの親戚用にとバイオリン用譜面台の依頼を受けました。バイオリンは立位での演奏になりますので、譜面を置く位置が高くなります。柱が長くなるわけです。
前作と同じくナラで作り、クルミオイルでの仕上げです。

お使いになるかたが見易い譜面の位置(高さと角度)を計っていただき支柱の高さと曲げ具合を決めました。

 

譜面置き部はできるだき軽やかな感じを醸し出すため、前回に比べ構成する木材を少し細くしました。

下は譜面台全体を斜めから見た写真ですが、前回のチェロ用譜面台に比べ背が高くなって支柱の曲がりが少なくなっています。

支柱が長くなったので、前回と同じ作業内容では作業が進むにつれねじれが生じました。完成に近づくにつれ、正面から見て微妙に片方に傾いている感じがするようになりました。一回目の支柱は失敗でした。

そこで支柱を作り直しました。横幅を10mmほど広げ板厚も少し厚くし、固定したままでの乾燥時間を長くしました。これによりほぼ後工程になってもねじれを生じない、想定通りの曲がりの支柱ができあがりました。

譜面置きの高さと傾きは前作と同じようにスロット位置の上下と角度が約2°位ずつ変化するように穴を開けたベロをスロットに固定することで調整する機構です。お使いになるかたに指定された高さを中央にして、上下一段ずつ移動できるようにしています。

固定用のネジはマホガニーです。こちらの引き出しの縁材の残りがまだ手持ちであったので、これで固定用のネジを自作しました。オイルで仕上げるとツヤのある感触になりました。

台座も前回とほぼ同じ作りですが2回目になると安定した作りになってます。

長い材のゆがみには苦労しましたが、対策したものの出来栄えは自分でも納得できるものでした。台座も以前と比べ時間が経ってもゆがみが生じないようになり、さすがに二回目はうまくできたと自負しています。(^_^)

 

今回は曲げ木の作業の様子を少し紹介します。

曲げ木技術の基本情報はこちらのVeritas Steam-bending Instructionから仕入れました。

曲げたい木材を蒸し器内で高温の蒸気で蒸し、取り出し後事前に作成しておいた型に当て、サポートする金帯(ベンディングストラップ)を木材に当てて木材を曲げます。曲がり後クランプで固定し熱を冷まします。その後固定した状態で1〜数週間乾燥させます。

概要は以上ですが、作業は煩雑で準備や後処理など多くの時間がかかります。

下の写真は曲げの最中のものです。左下の白い箱が蒸し器で、ここにやかんの蒸気を引き込み木材を入れ2〜3時間蒸します。蒸し器から取り出した熱いままの木材を両端に取っ手を付けた薄い金帯(私が使っているのはバンドソーブレードの刃を落とし異なる木材の長さに合わせられるように何段階かボルト用の穴を開けてます)に当て、一気に曲げます。

厚い木を曲げるのは結構な力が必要ですが、私は一人でも比較的楽に曲げられるようにウインチを使ってます。

曲がり終わったら多くのクランプで締め、熱が冷めて曲がりが固定するのを待ちます。

良く曲がっているのがわかるとおもいます。

熱が冷めても型から外してしまうと元に戻ってしまいます。曲がりがずっと残るように少なくとも1週間は型に入れたまま乾燥させます。

今回は曲げの作業を簡単に紹介しました。そのうちもう少し全体的にまとめたいと思っています。

 

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