知り合いにチェロを弾くという高尚な趣味をお持ちのかたがいます。その方と相談し、譜面台を作りました。
久しぶりの大作です。(時間がかかりました。 ^_^; )
主要部分はナラで作り、くるみオイルで仕上げました。
彼が仕様を出しそれを元に私が構想を立て、1/5のモデルを作成し、それをもとにまた議論して形を決めていきました。(時には奥様も交え、あれがいい、これがいいとかなり話が弾みました)
ベースとなる希望が、ベタ板を使用しないで軽いイメージにすることと、脚や柱に曲線にして流れる感じにすること、それから高さ調整や角度調整ができること、あと仲間内にはバイオリンを弾く人がいるので可能なら立って譜面台を見られるようにすることと希望項目満載でした。
これらを叶えるためには曲げ木技術が必要なのでミニモデルで散々テストし、1:1サイズで複数回テストし構想を実現できる目処が立ちました。(曲げ木技術については、また別の記事でまとめたいと思ってます)
まずは譜面置きです。
ここが人でいえば顔にあたる部分です。できるだけ要望に沿った軽く流れる感じと、開いた状態の譜面を支えること、さらに(時々あるそうですが)長い演奏時に3枚続きの譜面を置けるようにすることと、時には本になった楽譜を支えられる強さを実現することに注力しました。
譜面置きを後ろから見ると下の写真になります。
譜面置きの高さ調整と、角度調整の機構がわかると思います。高さは4段、角度は6段調整できるようにしています。
全体を横から見るとこんな感じです。柱にカーブをつけています。
譜面置きを固定する部分はネジにして、回しやすいように中央部を少し凹ませています。楽器の弦を止めるペグをイメージしています。(あそこまで芸術的にはできてませんが ^_^ ) なお写真はウォールナットのペグです。
脚の台部には少し斜めにホゾ穴を掘り、柱にホゾを付け、固定が確実になるようにここでもネジを用いています。ここのネジはナラです。
曲線の部分と台座の固定は大好きなアリ溝のホゾで固定しています。強度は十分に出ているはずです。(なお滑り止めと床の傷防止のため黒いゴムを貼ってます)
バラバラにすると下の写真のようになります。移動時の運びやすさを狙ってます。
今回はいろいろな技術が必要となり、それぞれを確認しながら制作したため時間がかかり苦労しました。でも納品時に友人が喜んでくれたのがなによりもうれしかったです。
立位の演奏用には柱の長さを変えるだけで対応が可能です。
次回はバイオリン演奏用に高い背の譜面台を作る予定です。乞うご期待!