このサイトをご覧になった方から、昔作った作品の制作依頼がありました。
こちらの三段引出しのある小引き出しです。
作成したのはほぼ同じものですが、ご依頼者様の要望により幅と高さを少し変更しています。幅を370mmから360mmに、高さを210mmから230mmにしました。
それに合わせて、バランスを取るため各引出しの高さを少しずつ変更しています。
本体はチェリーですが引出し内部を木曽ヒノキに変更しました。底板も無垢のヒノキです。
仕上げは前と同じくクルミオイルを使ってます。前にも書きましたがチェリーは使い込むに従ってだんだんと色が濃くなり風格が出てくる大好きな木材です。
引出しの前面は外枠、三段の引出し正面、底板に曲線を付け、天板や側面の板は引出しの曲面と合うように内部へ傾くようにカンナ掛けしています。天板と側板は蟻組みで組み合わし、最前面で45度同士で組む留め加工で作ってます。
引出しは全て包み蟻という仕口で組み合わせ強度を持たせています。枠からの出し入れには吊り桟を使いコンパクトにしてますが、引出しに入れるものは小物が多くそれほど重くならないだろうと考えます。
引出しの指をかける部分は、以前の作品はツマミでしたが、今回は穴を掘って指を引っ掛けるような形にしました。見栄えもスッキリするし、前にツマミが飛び出さないので邪魔にもなりません。穴の内部上部に切り欠きのミゾを作り、指が掛かりやすいように工夫してます。
下の写真は材料の木採りがほぼ終わったところです。
仕口の加工を進めています。天板と側板との蟻組み加工は組み上がったときに隙間が出ないように気を使うところです。欠けが出るとそこまでの加工と材料がパァになります。
天板などの曲線加工をカンナで作っていきます。墨線をキチンと付けているかがキモになります。
下は前板をまだ曲線にしてない引出しです。
引出し前板に墨線を引きそれに合わせてカンナで曲面を作っていきます。その後サンダーで合わせこみをしていきますが引出し間だけではなく、外枠の曲線とも合わす必要があるので注意深く進めます。
合わせこみが終わったら仕上げのサンディングを施し、オイル塗装で仕上げます。
完成し、依頼された方にお送りしました。
気に入って末長く使ってくださると嬉しいです。